心によみがえるもの

8月の夜空。
今までよりもずっと街の明かりは静かに灯って、
都会の夜空も普段より色濃く見える。

コンスタントなビルの光の波が幾重にも続いて、
その奥には華々しく散る色とりどりの明かりの粒たち。
刻々とその姿は形を変え、色を変え、人々を魅了する。
いつもより深くて静かな暗闇に映える、一瞬の儚い輝きたち。

美しさを纏うその一瞬の煌めきは、
心に「何か」を残して、そして跡形もなく暗闇に溶け込んでいく。

星のようにずっとそこに佇む事は出来ないけれど、
それでも夜空に短く散って溶けていく姿に、
ずっと記憶の奥に埋もれていた忘れかけていた「何か」が、
次第に蘇ってくる気がする。

暗闇に消えて行く一瞬の輝き。
次第に心に蘇ってくるかつての記憶たち。