「光の世紀」に向けて – 光と漁獲

光を利用する漁業に使われる照明に「集魚灯」がある。集魚灯は夜、海に光を投射して魚を呼び寄せて漁獲する際に使用する。集魚灯による漁法は主に、さんま漁やいか漁がある。

集魚灯を使ったさんま漁を「棒受け網漁」と呼び、1930年代に千葉県の漁業者が光に集まるさんまの習性を利用して開発した。夜間に行われ、魚群探知機とサーチライトでさんまの群れを探し、発見すると集魚灯を点けて群れに近づいて漁獲を行う方法である。一度光に集まると同一方向に旋回運動をし容易には離れないさんまの習性を利用した漁法である。

その方法は船の右舷の集魚灯の光でさんまの群れをおびき寄せ、魚が寄ってくると右舷の光を消灯し、網をしかけてある左舷の集魚灯を船首の方から順に点灯してさんまを誘導する。さんまは船首を回って左側の棒受け網に誘い込まれた後、ウィンチで巻き上げられる。

いか釣り漁法はいかが光に集まる習性を利用して夜間に魚群探知機でいかの群れを探し、海を明かりで照らして釣り糸にかかった以下を自動釣り機で釣り上げる。夜間の間釣を続けて釣ったいかをサイズごとに選別して箱に詰め、船内に保管して夜明けに港に戻る。

集魚灯は古くは松明を使っていたが、その後メタルハライドランプが使用されるようになった。そして集魚灯は船の消費燃料の約半分という莫大なエネルギーを使っていた。
また、上空に光が逃げたり、船の甲板や海面で反射されたり吸収されたりして光の大半が無駄になるという課題があり、海岸地域の光害の原因ともなっていた。最近ではLEDを使用することで消費電力がメタルハライドランプに比べて1/50~1/100程度となり、省エネが図られるようになってきている。また、光の指向性が高いため必要外の方向への漏れ光も少ないため光害に対しても有効であり地球環境にもやさしい光源となっている。

光で対象物の行動を制御する投光利用漁業は、日本の海面漁業生産量440万トン(H18年)のおよそ1/5を水揚げしている。より効率的・経済的な集魚灯としてLED照明が利用され始めているが、さらに照射範囲の設定が自由にでき、小型軽量、耐水性に優れ、保守点検が容易など多くの利点を持つ光源の開発も進んでいる。水産食糧の自給率向上を図るためにもこれからの日本の投光利用漁業を支える集魚灯がより改善されて漁獲量の増加にも寄与し、SDGsの持続可能な開発目標や地球環境にも貢献できることを期待したい。