光と陰の世界で生まれ変わるもの─シャンパン「製造方法」

ワインとシャンパンの製造方法の大きな違いは、ワインでは一次発酵のみだがシャンパンでは二次発酵も行うことである。シャンパンの製造過程は以下のようである。

シャンパンに使用できるぶどうはシャンパーニュ地方で生産されたものに限られ、品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエを中心にした7種類と決められている。
収穫されたブドウは圧搾されてから一次発酵させる。この過程でブレンド用のワインであるリザーブワインができる。その後、異なる品種、異なる畑、異なる収穫年のリザーブワインを30~ 50種類、各醸造家のブランドイメージに沿って調合する。
調合したワインに発酵を促進させるための糖分と酵母を加えて瓶に詰めて密閉し、石灰岩の地下貯蔵庫で二次発酵させる。この瓶内での二次発酵は別名シャンパーニュ方法と呼ばれ、最短でも約2か月間かけて行われる。この瓶内熟成で酵母はうまみとなるアミノ酸が含まれている澱(おり)になる。
瓶内熟成の期間が長いほど澱のアミノ酸が多くシャンパンに溶けだし、香りや味に深みと厚みが増していき、泡もきめ細やかになる。澱が含んでいるアミノ酸が70%溶けだすには2年を要し、100%溶けだすには6年を要するという。光の差さない暗い空間でシャンパンの原酒は育まれていくのである。
その後、瓶を少しずつ倒立させていき、さらに瓶を少しずつ毎日1/8ずつ回転させて澱を抜くために集める。澱を抜いてから糖分がない状態の原酒に味わいを加えるために糖度を
ワインとともに加え、最後にコルクを打って針金で固定してラベルを張って出荷される。製造期間は最短でも1年3か月かかり、このように手間のかかる製造工程のためシャンパンは高級なお酒とされている。

有名なドンペリニヨンというシャンパンは、7年間二次発酵させたものでうま味が凝縮し、高価だが複雑な風味、長い余韻を楽しめるシャンパンとして人気がある。

限られた土地の限られたぶどうを素材とし、独自の製法で手間をかけて丁寧に造られたシャンパンは、世界中の人々を魅了するに値する格式の高い特別なお酒と言えるのである。