光と精神 (2)

光と精神8―精神と光2

緯度の高い国が多いヨーロッパでは日照時間が少なく、冬季うつ病は、一般的である。

ノルウェーのオスロなどは、12月になると午後2時には日が落ち翌朝9時ごろまでは夜である。日中もしばしば曇天に覆われ、薄日しか射さない。

また、スウェーデンストックホルムで2015年の11月1か月間の日照時間は46時間だったというから本当に少ないのが分かる。スウェーデン北極圏にある町では冬至の前後には日が全く昇らない。

そんな日照時間の少ないスウェーデンには何とか冬の憂鬱から解放されたいと願う人により造られた人工的に夏の環境を体験できるサンルームがあり、1時間20ユーロで利用できるという。

その空間は光線療法の特殊ライトが発する暖かい光で満たされ、室内は35度に保たれ、壁には白砂のビーチの風景が描かれ、デッキチェアが置かれ、打ち寄せる波のBGMが流れて外の冬の世界とは別の世界となっている。
高照度の光を浴びることで睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が抑えられエネルギーが沸いてくるという。

イギリスでは国民の10%、約500万人がSADと言われる。SAD対策として、ロンドン警視庁では高照度照明器具を導入し、職員に光を浴びるように薦め、職員のやる気向上を図ったり、ロンドン科学博物館では光セラピーを受けられるスペースを無料で開放し、一人20分間高照度の照明の光を浴びることができるようにしているそうだ。

日本はSADの人は北国で3~4%、全国平均では 1%であり、約100万人となる。SADであることを自覚していない人も多いと予想され、SADについての情報がもっと周知され、体調の回復を図れる人が増えると良いと考える。

冬季うつについての研究は、現在も進められており、さらなる解明を期待したいところである。

photo by Kim Siever