ソサエティ5.0に向けて1 – 光との関わり方 プロローグ

皆さんはSociety5.0(ソサエティー5.0)という我が国が目指すべき未来社会の姿として掲げられた政策指針をご存じだろうか。
これは2016年に閣議決定された第5期(2016年度~2020年度)科学技術政策の基本計画の中で掲げられた政策指針である。

人類が歩んできた社会の歴史を狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会といった区分に分けてそれぞれを狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0、)工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)、とし、これらに続く社会を新たなイノベーションによって生み出すという意味でSociety 5.0と名付けている。
そしてサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、「経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)」をSociety 5.0(ソサエティー5.0)として提唱している。

Society 5.0は人間を中心にし、いかに幸せや生きがいを感じられる社会を築くかに主眼を置いている。日本が抱える人口減少や超高齢化、環境・エネルギー、防災対策といった問題への配慮も含み、ICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)で「社会のありよう」を変えようとした施策である。Society 4.0の情報社会を土台としながら、あらゆる人が様々な制約を乗り越えて、活き活きと快適に暮らすことができる人間中心の豊かな社会を目指している。

そしてSociety 5.0は、SDGsの課題解決の中心的な役割を担うものとしても大きな期待が寄せられている。

Society 5.0に関連して照明の分野について考えてみると、時代と共に人間と照明のかかわり方は変化してきたが、LEDの登場で今までに経験したことのない大きな変革が起きている。そして最近では、光が人間に与える様々な影響も科学的に解明されてきてこれからの新しい社会における照明の重要性はますます大きくなると思われる。

この照明の変革期において、これからの新しい社会で健康的で豊かな生活を送るためにはいかに人間が光と関わっていけば良いのかについて考察することは重要なことであると考える。

次回より日本人が光と関わってきた歴史を振り返りながら、Society 5.0、SDGsにも関連したこれからの人間と光の関わり方について考察してみたい。