日本のステンドグラスの歴史 (1)

日本のステンドグラスの歴史は浅く、百数十年の歴史しかない。西洋の宗教と密接な関わりのあったステンドグラスとは違い、美しい装飾品として生まれ、製作されてきた。公共の建物だけでなく、個人宅にも設置され、日本人は生活の中に潤いを与えるものとしてステンドグラスの光を楽しんできた。

日本におけるステンドグラスの歴史についてみてみたい。

日本にステンドグラスが初めて入ってきたのは、1865年フランスの修道院から長崎の大浦天主堂に寄贈された「十字架のキリスト」だと言われている。

その後、日本に初めてステンドグラスの技術を紹介したのは宇野沢辰雄(1867-1911)である。宇野沢は明治政府から命じられてドイツに留学し、ステンドガラス技法、エッチングを学んで1890年に23歳で帰国し、日本でドイツ式のステンドグラスの製作を始めた。

また、小川三知(1867-1928)は日本画教師としてアメリカに渡り、アメリカ式のステンドグラス技法を学び、1911年に帰国後多くの名作を残した。彼の作品は、余白を上手に取り入れて、日本の風景を美しく表現しており、欧米のステンドグラスとは異なったまさに日本独特のデザインによるステンドグラスといえる。小川氏製作のステンドグラスは慶應義塾図書館、鳩山会館などに残されており、その作品を鑑賞できる。
 
 
photo by humsum