SDGsと照明 – 日本の子供の問題

今回は日本の子供に関する問題について取り上げてみる。

●「学力の格差」
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」はすべての人に包摂的で質の高い教育を確保し、生涯学習を促進することを目標としている。
国連がSDGsの目標に焦点を当て「先進国の子供達の状況を比較分析した報告書」を2017年6月に発表した。それによると日本の子供達は基礎学力の定着率は高いが、学力の格差が比較的大きいと指摘された。
学力向上には家庭における子供達が集中して勉強ができるような光環境づくりが望まれる。

●「若者の自殺率の高さ」
日本の若者の自殺率は世界的に高く、15歳から39歳の若者の死因の第一位は「自殺」であり、20歳代の若者の死因の半数は自殺によるものとなっている。
自殺の原因は成績や進路などの学校問題など様々であるが、自殺者の98%が鬱などの精神疾患にかっていることが確認されている。

●「きれやすい子供達」
2017年に文部省が小学生の暴力事件が10年前に比べて約3倍に増えていると発表した。その原因のひとつに子供が精神的に「きれやすくなっている」ことが挙げられている。原因は、いろいろ考えられるが、セロトニンの不足が挙げられている。

上記の問題に関係するセロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でセロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、鬱病を発症すると言われている。

セロトニン不足に対しては、その分泌を増やすために太陽光を浴びることが大切である。太陽光は近視の予防にもなるという研究結果もあり、外遊びをすることが少なくなった現代の子供達にはもっと太陽光を浴びて元気に過ごしてもらうよう促したいものである。
また、家庭生活ではサーカディアンリズムを崩さないような光に配慮した生活をすることが求められる。調色機能のある照明であれば、朝は色温度の高い照明で覚醒を促し、夜には色温度の低い照明に変えて子供が精神的に落ち着くようにでき、理想的な光環境を実現できる。

欧州や米国で広がっている照明の概念に「ヒューマン・セントリック・ライティング(HCL:Human Centric Lighting)」という照明によって能動的に「人にやさしい」環境を構築しようとする取り組みがある。HCLは照明の明るさや色などの調整によって照明下で過ごす人の集中力を高めたり、生活リズムを改善したりすることなどを目指している。そして、職場や学校での集中力を向上させたり、人間の自然治癒力を向上させる光の研究が進んでいるという。学校において子供達が快適に過ごせ、勉強に集中できるような光環境をどう提供していくかということについて、このHCLの「人間を中心にした照明」の考え方や研究は大いに参考になるだろう。

日本の子供達の問題に対して光と照明の分野からどんな働きかけができるか――それを私達はこれからも引き続き検討、提案し実践していきたいと考える。