SDGsと照明6 – OLED(有機EL)照明

LED照明器具の登場によって、照明の世界は著しく進歩した。そして、これからはOLED(Organic Light EmittingDiode)(有機エレトクロルミネッセンス=有機EL)照明器具がさらに新しい照明の世界を広げていくことが期待されている。

電極に挟まれた無機材料に、電気を通すことで発光するのがLED。 OLEDは基板に形成された電極で挟まれた有機材料に電気を通すことによって発光するしくみである。すでに小型有機ELディスプレイはスマホなどに、大型ディスプレイは大画面テレビに利用されている。

OLED照明器具は、LED照明が点光源で指向性の強い光であるのに対して面光源で拡散するやわらかい光となり輝度も低く、強い影ができにくい。また、OLEDは発熱が抑えられており、明るさのむらもなく、照らされた物の反射が少ない特徴がある。特に光の質は太陽光の波長成分に近いスペクトルを持つため従来の照明よりも自然な光として見える。消費電力に関わる発光効率はLED電球に比べて以前は低かったが、研究開発によりLEDや蛍光灯の発光効率を超える製品が誕生している。

材質は薄くて軽いため、圧迫感のない器具となり、空間をより広く見せることができる。また紫外線を出さずに発光するため、目や肌にやさしく、照射された物の色あせの心配も必要ない光源である。さらに製造工程において水銀などの有害物質を一切使用していないため、環境にやさしい光源であり、LEDよりもさらに長寿命となっている。

基板が従来のガラスではなく、プラスチックのものが開発されたことで、よりデザイン形状の自由度が増し、透明であることも加わってデザインの幅が大きく広がった。価格的にはまだ高価格ではあるが、数年後には低価格化が実現するのではないかと予測されている。

OLED照明は従来の照明器具では実現できなかった利用法が可能となり、SDGsの持続可能な開発目標に貢献する次世代照明器具として大きな可能性と価値が期待されている。

photo by Ecole polytechnique