SDGsと照明 – 病院・高齢者施設・保育園の照明

SDGs目標3では全ての人の健康な生活を確保し福祉を増進するとしている。

病院の入院患者、高齢者施設の高齢者、保育園の乳幼児にとってその居住空間の光環境は、長時間一定の空間で過ごすことになるため、非常に重要であると考える。これらの施設で過ごす人達の健康的で快適な生活を実現する照明計画は、SDGsの目標達成にも貢献すると考え、今回は取り上げる。

病院、高齢者施設、保育園の照明は、どの空間も昼光を利用した照明計画で省エネを図りたい。さらに調光調色の照明システムでサーカディアンリズムに即した光環境を提供したい。

病院では各行動目的に応じた各空間の光環境を計画したい。病室は、サーカディアンリズムに応じた照明計画とする。特にリハビリテーションルームは活動的で前向きな気持ちになれるような色温度の高い照明にすることで患者の気持ちを後押しすることが出来る。

高齢者施設では、身体的に機能が衰えてきている高齢者の特性を考慮した光環境が望まれる。認知症と睡眠不足には関係があるとされており、良質な睡眠をいかにして得るかが認知症予防に重要であるとされている。
高齢者施設は一般的にサーカディアンリズムに即した照明として、朝の覚醒する光、昼間の活動する光、夜の落ち着いた睡眠へと導入する光が求められているが、高齢者の個々人の感性や体調により求める光が異なり、カスタマイズされた照明の必要性も出てくる。
例えば、くつろぎの空間に色温度の低い照明が推奨されているが、視力が弱まっている高齢者は、字を読む際に色温度の低い照明では見にくい場合がある。さらに人生の過程での体験による光の感覚には個人差があり、低い色温度の光を好まない高齢者も多い。
また、生活リズムが極端な早寝早起きになってしまっている場合は、色温度の高い照明を夕方から夜にかけて浴びることで、就寝時刻を遅めにするように働きかけて生活リズムを整えることも高齢者の場合は有効であるとされている。
高齢者施設は共用スペースを一般的なサーカディアンリズムによる照明にするとともに個人のスペースは各人に適した照明にカスタマイズすることも必要と考える。
また、色が鮮やかに見える高演色の照明にするとお互いの肌の色が健康的に見えてコミュニケーションも取りやすい、食事が美味しく見えて食欲も増すなどの良い効果が生まれる。十分な照度を満たしながらまぶしくない照明も高齢者の目にやさしいものだといえるだろう。

保育園は乳幼児が長時間過ごす施設である。子供の睡眠不足はまだ成長過程にある子供達にとって避けたい事柄である。保育園にいる時間帯にサーカディアンリズムに沿った光環境で過ごすことで体内時計が正常に働き、良い睡眠が取れるように導く。また、目の機能も著しく成長する時期であり、色彩が鮮やかに見える照明であることも大切である。高演色のLEDで天井を見上げることが多い子供達の目にも優しい柔らかな光のLED照明を設置したい。4、5歳になった子供達には自ら調光調色の光の調節ができるようにして子供達の光の感覚を育てることも行えると良いだろう。

建物内で長時間生活する人達にとって、快適で健康的に過ごせるよう配慮された照明のもとでの生活は、SDGsの目的である健康と福祉の充実に繋がっていくことであると考える。

photo by Hamza Butt
 
 
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