新年の光


日本の新年は除夜の鐘、そして初日の出で始まる。各地で寒さを堪えながら水平線や山間から登るその年初めての太陽を拝む この風習が一般的に盛んになったのは意外にも明治時代以降だという。

色温度という視点で初日の出を考えてみると、普通の日中の太陽光線は 5000~6000 Kであるのに対し、朝日と夕日はおおむね 2000 K である。色温 度の低い赤系の色は一般的に人の心理に活力や積極性を与え、一方で白い色は純粋さやもう一度リセットするという心理を表すという。時間の経過とともに赤から白に徐々に 変化する朝焼けは、きっと色彩の面から言っても、元旦に新たな気持ちで一年をスタートする前向きな気持ちを後押ししてくれるのだ ろう。

日本で初日の出が拝まれている頃、地球の裏側では花火やイルミネーションとと もに新年を迎えるイベントが時差と共にまるでリレーのように各地で開催されている。早起きして初日の出を拝 む習慣は実は日本特有のもので、広場で仲間とカウントダウンの大合唱をした後は朝寝坊というのが欧米の新年の過ごし方の主流だ。2005年に100周年を迎えた有名なニューヨーク・タイムズスクエアのカウ ントダウンをはじめ、ロンドンやパリでも色とりどりの花火とイルミネーションが大広場を彩り、テレビでもその様子が生中継される。

世界の各地で新年は様々な光とともに様々な形で祝われているのである。