「自分の力の成長が、理想の真実の光である」


この格言はドイツの哲学者ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ(1762~1814)のものである。

彼はイマヌエル・カントの哲学に大きい影響を受け、後のゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルやルドルフ・シュタイナーなどに影響を与えたドイツ観念論の哲学者である。
誰でも「理想の自分」という概念をいろいろな形で意識の中に持って生きている。

今よりも、より優れた人間に、より大きな人間に、より愛される人間に、などその理想とする人間像は各人一人、一人、異なっている。
また、「真実」とは本当のことを意味し、人間の主観に基づいて導いた結論である。人それぞれの主観によるものである為、人により内容が異なることがあるものである。
そしてその人にとっての真実は絶対である。

日々の生活において理想の自分に近づくために努力を惜しまないで生きていると、自分の様々な能力がそれまでの自分に比べてより強く、より優れたものになったことを自覚できる時がある。
そのような時、人はその成長した力を感じ、その事実を確認することにより、理想に掲げる自分の姿へ近づけたという喜びを感じる。その成長は、その人にとっての真実であり、希望の光でもある。

自分の持っている能力は、天性のものであるとし、自分で伸ばすことは無理であると考える人もいるが、「成長する思考態度」を持つことによって自分の知性や能力を伸ばしていくことができるということが分かっている。そして成長できることを信じる人はいつまでも成長し続けることができるという。
成長するということは、能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることでもある。

自分の理想を大切にし、より高みに自分の力を伸ばす成長への努力をしながら生きて行くことは人生において大切なことであると思う。そして、成長によって理想の姿に近づけたと感じる時こそ、明るい希望の光を見ることができるのではないだろうか。

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photo by Erik Buehler