「理想を掲げる限り、茨の道の先にも光は見える」


この格言は、ピアニスト園田高弘(1928~2004)のものである。彼は日本を代表するピアニストとして知られ,生涯現役として活躍した。

1948年東京音楽学校卒業,同年日本交響楽団(のちの NHK交響楽団)と共演してデビューし,1952~53年にはフランスに留学。1957年に、ドイツに留学し、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と共演し、ドイツデビューを果たす。以後ヨーロッパ各地で演奏活動を行い、1960年に帰国し、日本での演奏活動と教育活動を本格化する。2004年に急逝するまで活躍し、幅広いレパートリーを持つ邦人ピアニストとして貴重な存在だった。

理想とは、人が心に描き求め続ける、それ以上望むところのない完全なもの、そうあってほしいと思う最高の状態であり、当然現実とは隔たりがあるものである。
そして理想は実現したいと願う最善の目標でもあり、人は理想の実現を人生の目標とすることによって人生を充実したものとすることができる。
しかしその道のりは険しく、困難や辛いことも多く、くじけそうになることもあるだろう。

辛い現実があっても遠い先に見える理想の実現という希望の光が見えることで、その茨の道も耐えて歩いていけるのではないだろうか。

そしていつしか理想に近づき、到達することができるならばその時の喜びは何物にも代えがたいものとなって自分を満たしてくれるものとなることだろう。
その日を目指して人は光と共に理想への道を歩み続けて行く。現在も、そしてこれからも―――。
 
 
Sea way
photo by Mo’een Mustafa