「影を伴う雲の上には、光を伴う星がある」


ピタゴラス(前569年頃~前470年頃)は古代ギリシアの哲学者・数学者・宗教家。
サモス島で宝石細工師の父のもとに生まれた。両親が、生まれたその子についての神託を受けたところ、「美と知恵にかけて万人に抜きんでた存在となり、人類に多大な貢献をするだろう」と予言されたという。

ピタゴラスは、若い頃から世界各地を旅し、幾何学、算術と比例、天文学などを学び、その故郷に帰るまでの旅は20年にわたった。
後にピタゴラス教団と呼ばれる集団を立ち上げ、数百人の信者を集めて研究などを行っていた。ところが、教団は秘密結社の性質を持ち、周囲から懸念や嫉妬を抱かれるようになってしまった。結局、教団への入団を断られた者に扇動されて暴徒と化した市民に、焼き打ちにされて教団は壊滅し、その後にピタゴラスは殺されたと言われている。

彼は「宇宙は数に支配されている」と唱え、特に数の神秘を説いた。また、様々の数学の定理を発見したが、その中のいくつかは現代の数学の基礎となっている。有名な「ピタゴラスの定理」は皆さんご存知であろう。

影を伴う雲の上には、光を伴う星がある。全ての物事の上に、汝自身への畏敬を

―影のある物事の上には明るい星の光がある。その光は、希望であったり、その物事を照らす明るい未来への指標であったり、価値ある素晴らしいものである。全ての物事を照らす素晴らしい光に、あなた自身に向けて持っている畏敬の念を捧げよう―

この格言は、物事の明暗部分に対して向ける真剣な眼差しと、明の部分に対する尊重の心について言っているように思う。そしてさらには、自分自身にも真剣な眼差しを向けて、自分に畏敬の念を持てるような人間になることを促しているようにも思える。
影のある全ての物事に対して明るい光を与える星と同じように、価値ある人間としての自分を構築し、自分自身に対しても、全ての物事の光の部分に対しても畏敬の念を持てるような人間になりたいものである。