冬の青い空の下で

たまに、都会の中に見え隠れする一瞬にどきっとする。

それは、夜の街の一角にある閉じてしまった店先のフェンスからこぼれる光であったり、
今にも冬の風にさらわれてしまいそうになる、街路樹の枝に残っている葉っぱであったり、
ひとつ息をして白くなって現れては、たちまち消えてく冬の吐息であったり、
翌日の天気が少し心配になってしまうような、夜の暗い空に霞んでいる月の光だったり、

都会という世界は様々なものが入り組んだ混沌とした街かもしれない。
時として、その存在性を問いたくなるような、また時としてその存在性すら忘れてしまうような世界かもしれない。

だけど、ひとつひとつのなんでもないものが、確固たる都会の断片であって、
それらの一瞬一瞬は、無機質な世界の中に有機的な「生きること」という優しさと過酷さを与えている。

そんな一面を垣間見るたびに、胸が少し熱くなって高鳴る。