車と照明 (1) – 動く居住空間へ

建築の世界ではLED照明が広く普及しているが、自動車に於いてもLED照明の採用が広がっている。

初めてLED照明がヘッドライトに装備されたのは2003年であり、2006年にはテールライトにも装備されるようになった。現在ではルームランプ、マップランプ、足元照明、天井照明、ナビゲーションシステムなど車内照明にLEDが多用されている。
LED照明の利点は省エネ、長い寿命、高い耐久性、調光・調色機能に加えて車の車内照明に有利なデザインの柔軟性がある。車内照明設計を自在にすることができることにより、車内空間の幅広い光の演出が可能になった。

昨今の自動車選びの条件を調べてみると将来に備えて節約をという心理が働き、燃費の良さなど経済性を重視している傾向が見える。
自動車にステータスではなく実用性を求める人が増加しているのだ。

また経済性についで車内空間に居心地の良い居住環境を求める意識が強くなっており、内装、照明へのこだわりがデザイナーからエンドユーザーまでその幅が広く多様になっている。特別な空間としての車内の環境にこだわる人が増え、子供から老人までが快適に過ごせるような車内環境が求められている。第二のマイルームと言われる車に、より高い居住性能を求め、より好ましい雰囲気で過ごしたいという人々の要求が強くなっている。

その要求に応えるようにメーカー側も車内空間に、優雅さや豪華さを感じられる照明や、幻想的な雰囲気や優しく包み込んで癒されるような照明をデザイン設置し、リラックスできる特別な空間を持つ車を生み出してきている。

車体に組み込んだ間接照明を用い、落ち着いた豪華な雰囲気を出したり、扉の下にライン照明を付けて安全性と共に装飾性を持った足元灯としたりして好評を得ていると言う。
LED照明の調光、調色機能を使って好みの色温度や照度での車内照明を実現できるようになり、光環境の快適性を高め、豊かで快適なカーライフを実現する楽しみが広がっている。

LEDによって車内環境の機能性と演出性の幅が大きく広がり、新しい光環境の創造がますます盛んになっていくことだろう。