スタジアムの照明 (2)

スタジアムの照明計画には様々な基準が設けられている。
JISの規格以外に、各スポーツ競技毎に協会などが独自に設定している条件もある。
その内容は、照度、演色性、光色、グレア、など光の条件に加え、照明塔の配置、高さ、などである。また、テレビ撮影の為の諸条件も細かく設定され、近隣への障害とならないような光にもしなければならない。  また、照明計画時に留意しなければならないこととして背景の明るさ、陰影や立体感、保守管理などがある。
今年、横浜スタジアム、福岡のヤフオクドームが照明の光源をLEDに変更した。 LED化により、ランニングコストが約50パーセント減少し、従来は時間がかかっていた点灯、消灯が瞬時にできるようになり演出性が上がった。 明るさのむらがなくなり、均一に照明できるようになった反面問題も出てきた。
野球選手にとっては従来から多少の照明のまぶしさによる不都合があったそうだが、LED化によりさらにボールが見にくくなったというのだ。 照明により球の行方を見ることが困難な場面が増え、照明を見たあと残像が残ることによりプレーに影響が出ているという。

LED照明の特徴である光の直進性の高さ、輝度の高さ、などによる影響と考えられる。照度や輝度に関して細心の注意を払ったLED化だと思うが、球の見にくさが増したことは事実だという。
調光、調色が可能になり、場面ごとの光の設定も容易であるという利点の多いLEDだが、LED照明による弊害が起きてしまっていることは照明計画における重要な問題であり、問題解決の改善策を確立していく必要があると考える。
 
 
photo by Alexander Wilson