「光はそれがどこから来るかを考えない人をも照らす」


この格言の「光」を「自然の光」と考えると、太陽の光は地球全体に平等に降り注ぎ、私たちを照らしてくれるという意味に捉えられる。

――通常は当たり前にいつもあるものとして光を享受して私たちは暮らしている。
太陽光を利用して活動する時、私たちはその光がどう射しているかを考え、それに対応して光を利用している。そして時には、太陽光を拝み、その恩恵に感謝することもある。光は意識するしないに関わらず私たち人間をいつも照らしてくれているのだ。

また、格言の「光」の意味を「希望の象徴」として考えると、どんな人をも希望としての光は照らしてくれているという意味に捉えられる。

――失意の底にある時、絶望に打ちひしがれた時に私たちは希望が見えなくなり、明るい未来が待っているかもしれないことも考えることができなくなる。光の存在すらも感じられない状態になってしまう。
そのような状態の人も、希望としての光は必ず照らし包んでくれていると格言からのメッセージを読み取ることができると思う。

人工の光である照明は、近年、LEDやRGBの照明が現われ、新たに光の世界が広がっている。しかし、一方では、人間の長い歴史の中で培ってきた光への感性はあまり変わっていないように思える。基本的に人間の求める理想とする光は、生理的、精神的にも人間にやさしい、自然に近い光であると考える。

照明器具の発展と共に、光による空間の美しい創造、光による生活の潤い、光による健康の増進、などについて多くの情報が流れ、光の存在に関心を向ける人が多くなってきた。

そんな現代において、照明デザイナーとしてより優れた光環境を創造することはますます重要になってきていると言えるだろう。これからも、あまり光を意識していない人までもが光の感性を豊かにできるような照明計画をし、心が満たされ、癒され、希望を感じられる快適な光環境を提供して行きたいと考える。