WELL認証4-審査項目

WELL認証v2の審査項目の「光」を詳細にみてみる。
光の曝露を促し、視覚的、精神的、および生物学的な健康に最適な照明環境の創造を目指すとし、そのために必要な要件項目を記している。

1.光曝露と教育
屋内での受光と光に関する教育へのアクセスを提供する。
2.ビジュアル照明デザイン  
すべてのユーザーに対し、電灯を通じて視覚的な快適さを提供し、視力を強化する。
3.サーカディアン照明デザイン
電気照明を用いた介入を通じてサーカディアン的健康を支援する。
4.グレア制御
昼光および電気照明のグレアから引き起こされる視覚不快感を最小限に抑える。
5.強化された昼光へのアクセス
屋内での昼光曝露ならびに屋外の眺めを通じて、正常なサーカディアンリズムと心理的健康を支援する。
6.視覚的バランス
視覚的快適性を向上させる照明環境を生み出す。
7.電灯の品質
電灯を使用して視覚的な快適さを増進し、ちらつきを最小限にする。
8.照明環境の使用者によるコントロール
要件に合わせてカスタマイズできる照明環境に個人がアクセスできるようにする。

前出の項目内容は以下のような背景から生まれたと考えられる。
LED照明の登場で、光の調色調光が自在にできるようになり、照明への知識や利用の仕方などについての利用する側の光に関する教育が必要となっている。また、光による視覚的、精神的に快適な環境の創造の実現を図る。そしてサーカディアンリズムを調整する光の働きを理解した上で健康的な生活ができるような照明の利用の仕方が推奨されている。事務所などにおける光環境についてはタスクアンビエント照明などによる個人個人の要求に対応できる照明環境システムを推奨している。

近年光が与える視覚や心身への影響が様々な角度から研究され、解明されている。そして現代社会が抱える問題にも光が深く関わっていることが分かってきている。例えば、子供の著しい視力低下の原因として人工光のグレアや屋内環境での強いコントラストによる眼精疲労、スマホなどのブルーライトによる目への悪影響などが考えられている。またサーカディアンリズムの乱れや日光浴不足は集中力の低下や鬱病を引き起こす原因となっている。

これらの諸問題に対応したWELL認証の光に対する評価項目は、科学的根拠を基に作成されており、利用者の健康とウェルビーイングを実現するために必要な事柄を具体的に示した重要な指針となっている。