WELL認証1─プロローグ

私達人間は多くの場合、90%以上の時間を屋内で過ごしている。近年、その空間が私達にとって健康的で快適なものであることは、私達が幸福な人生を送るために重要な要素であることが認識されてきている。WELL認証(WELL Building Standard)は「健康とウェルビーイング」を図るために2014年に生まれた室内環境評価システムである。

従来、建築の認証制度としてはLEEDやCASBEEなどの環境・エネルギー性能評価による評価システムがあった。WELL認証は新たに建物内で暮らし働く居住者の健康・快適性に焦点を当てた室内環境評価システムとして2014年にアメリカで生まれた。

WELL認証は、心身の健康をサポートしたり、快適性が高く、人間の健康やウェルネスに好影響をもたらす建築物に与えられる。WELL認証を取得した建築物は、その空間で過ごす人々が心身共に活発になり、パフォーマンスが向上し、労働生産性の上昇が望めるとされており、不動産価値も高くなるとされている。

2019年11月現在、世界では58か国4170件が登録し、そのうち234件が認証を受けている。日本では、登録件数31件、認証件数3件となっている。

WELL認証を取得した企業はその企業の環境や社会に対する取り組みを社会に発信し、従業員の健康や生産性にも多大に寄与し、優秀な人材獲得にも好影響を与えるものとして世界的にも注目を集める存在となっている。

空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加えたより良い住環境の創造を目指した室内環境評価システムであるWELL認証は、今後その存在価値はますます増していくものと考えられる。今回よりWELL認証について取り上げてみる。

※WELL認証公式サイト. https://www.wellcertified.com/