光と殺菌5─光触媒

紫外線が殺菌効果を持つことで光を照射することで殺菌効果を得られることは前述したが、光を素材として殺菌、脱臭効果を得られるものに光触媒がある。

光触媒は光のエネルギーによって化学反応を活性化させる働きをもつ物質の総称で、代表的なものは、化粧品・食品添加物などに使用される酸化チタンである。酸化チタンは光を受けることで有機物を酸化還元反応で分解し、殺菌、浄化などの作用をもたらす。

光触媒が機能するには、酸化チタンが吸収することができる紫外線が必要となり、以前は主に自然光を得られる外壁などの箇所でのみ使用されており、防汚効果を狙って屋外の道路照明にも利用されていた。近年、蛍光灯やLED照明の可視光で機能する光触媒が開発され、室内でも光触媒を利用することが可能となり、照明器具への応用例も多くなっている。

例えば蛍光灯型ランプの透明カバーに酸化チタンと抗菌作用のある銀イオンを発生する純銀の微粒子を塗布し、抗菌、殺菌効果を発揮させる照明器具がある。純銀の微粒子は照明を点灯させると銀イオンを発生させる。銀イオンは650種類以上のあらゆる病原菌やウイルス、カビなどに対して強力な殺菌効果があるとされている。銀イオンは空間に浮遊したり、壁床などに付着している細菌やウイルスを死滅させ、完全に死滅させることから耐性菌ができづらいと言われている。

また、酸化チタンは点灯すると光触媒反応が起きて表面に強力な活性酸素が発生する。その強さは、塩素の3倍、次亜塩素酸の2倍、オゾンの1.5倍の殺菌力がある。光触媒機能により空中の有害金は水と二酸化炭素になるまで分解される。銀イオンと光触媒の相乗効果により、メーカーの実験ではノロウイルスは8時間で90%不活性化し、大腸菌は24時間で99.9%死滅するとされている。

他に室内の照明の光でガラス面に付着したウイルスを低減する抗菌抗ウィルスのガラス板も製品化されている。抗菌抗ウィルス効果を持つ銅系化合物と有機物を分解する光触媒膜とガラスで構成されており、蛍光灯やLED照明などの可視光により99%以上菌やウイルスを低減することができる。大腸菌などの菌やインフルエンザウイルス、かびなどに対する効果が確認されているという。

いくつかの例を挙げたが、私たちの生活を取り巻く菌やウイルスを効果的に除菌殺菌することができる光を効果的に利用して安全で安心な環境づくりに役に立ててゆきたいものである。