新緑の緑

新緑が春の柔らかい光を通じて、目に美しい季節となった。

木々が芽吹き、鮮やかな緑色の新芽が出てくる様子を見ると、力強い生命の息吹を感じ、生きている喜び、希望に満ちた未来を感じる。

新緑の色を、古くから日本人は様々な呼び名で表現してきた。
若葉色、柳色、萌黄色、薄萌黄色、若緑、若竹色、薄緑、浅緑など、、
繊細な感覚で、色の微妙な違いを感じ取ってきた日本人の豊かな感性が伺える。

新芽の明るい若草色は、太陽の光に映えて鮮やかに生き生きと見える。
それは冬の光に比べて、春の光が物を鮮やかに見せているからだ。

冬の光は太陽高度が低く、地球に光が届くまでの空気層の距離が長いためスペクトルの青い光が少ない光となる。
春の光は太陽高度が冬よりも高くなり、空気層の距離が短くなって青い光が届き、スペクトルが揃うことで明るく生き生きとした印象の光になる。
春と夏の間。あっという間に過ぎ去ってしまう大切な時間。
このひと時に、森や公園を訪れてみよう。
きっとそこには、普段見過ごしてしまいそうな大したことのない、だけどかけがえのない大切なものに気付く事が出来るだろう。
眩いばかりのきらきらした、新しい瞬間に出会えるだろう。

 

絵画:『緑響く長野県信濃美術館 東山魁夷館 所蔵