大切なもの

様々な場面で、「美しい」と思える瞬間がある。
それは、ちょっとした細(ささ)やかなもの。

朝陽がカーテンの隙間からすり抜けて頬をかすめる瞬間であったり、
昼間の窓の外から聞こえてくる子供たちの元気な声だったり、
春の暖かい風が窓を通り抜けて、髪をなびかせる瞬間だったり
冬の白い空から舞い降りてくる、手の平ですぐに溶けて消えてしまう雪の結晶であったり、
誰かが微笑みかけてくれる瞬間であったり、

同じような繰り返しの毎日であっても、少しずつ変化するものの中から生まれる、
ほんの一瞬の出来事の一つ一つに「美しさ」が宿っている。

それは、都会の喧騒に掻き消されてしまう程、細やかなもの。
見落としそうになってしまう程、大した事ないもの。

それでも、モノクロの世界の片隅で、
ひっそりと色彩を放つ瞬間は確実に存在する。

見失いがちになる「美しい」と思える心を大切にしたい。
「愛おしい」と思える、優しい気持ちを大切にしたい。
そんな、かけがえのない大切なものを、
隣の人に未来に、つなげていきたい。