雨音の響きの中で
雨の音。
いつもは騒がしく聞こえる音も、時折すごく透明で艶やかに立体的に聞こえる。
一つ一つの音の重なりが、ビビッドに空気を伝って耳に響く。
限りなく澄んだ、幾重もの音の広がりと深さ。
本当に大切なものが、そこに隠れているような、
そのまま、雨だけの世界に溶け込んだら、何か懐かしいものに再び出会える気がする。
見えない美しくて儚いものに意識を重ねて、感覚を研ぎ澄ますひと時。
目に見える光の感覚とは別の、耳に響く音の感覚。
たまには、気変わりの激しい梅雨空に、気を許してみるのも良いのかもしれない。