冬と春の間

この時期は、少しでも青い空が顔を覗くと、少し浮ついた気分になる。

冬と春の合間。

高速を走って、地平線に見えたのは薄ピンクに色付いた入道雲。
春を飛び越して夏の空が遠くに見えると、一瞬自分が取り残された気分になった。

車はどんどん加速して行くのに、気分だけはあの入道雲には追い付かなくって、それでも薄ピンクが少しずつオレンジ色になって色が濃くなって、そして遂に視界から去って行った。

冬から春色に吐息を吹きかける太陽の光と、
それを映す不可思議な夏の入道雲の記憶。

ただ、時間と情景だけが、
決して止まる事のない、瞬間の断片に姿を変え消え去っていった。
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