深海で輝く知恵の光




7月の祝日といえば海の日。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」という趣旨で1995年に制定され、1996年から実施された。海に関する祝日がある国は世界でも珍しいという。

日本は四方を海に囲まれた島国であり、陸地の国土面積世界第60位に対して海域の広さと海岸線の長さでは世界第6位にもなる。そのため古来より、外国への移動、物品の運搬、海産物を取って食べる、塩をつくるなど、海からたくさんのめぐみを受けてきた。今でも海は、私達の生活に密着した場所であるのに加え、レジャーの場としても最もポピュラーと言っても過言ではないだろう。

海には自然の光がたくさんある。夜光虫による波の輝き、ホタルイカの群れ・・・
では、はるか海の深く、光がほとんど届かない闇の世界で何が起こっているのか想像したことはあるだろうか?

紅海の比較的深い海中では、虹のように色とりどりの光を放つサンゴが見つかっている。不思議なことに、それよりも浅い海中のサンゴはここまで鮮やかな色を持っていないという。なぜこのサンゴは、光の無い深海でこんなに鮮やかに輝くのだろう。実はこれは、体内に共生している藻の光合成に役立つようにだと考えられている。
サンゴが鮮やかな光を発する。藻類は色素の恩恵を受け、酸素や栄養分などサンゴに必要な物質を供給する。遠く離れた、私達の手の届かない深海で、生物の共存のための知恵が美しく光っているのだ。

photo by Professor J Wiedenmann