光の春

2月4日は立春。暦の上では春を迎え、これからは徐々に日差しの強さが増してくる。この頃はまだ寒い日が多く、春はまだ遠いという感覚だが、日脚が長くなり、日差しもだんだんと強まってきて、空が一段と明るく感じられるようになる時期である。そんな立春から春分にかけての時期を、「光の春」と呼ぶ。

「光の春」はもともとはロシアで使われていた言葉である。ロシアでは長く厳しい冬が終わりに近づき少しずつ日が長く、空が明るくなっていくのを感じる2月を「光の春」と呼ぶ。

ロシアのような高緯度の地域では、日脚の伸びを早く感じるために人々は太陽の明るさで春を感じるのだ。
2月の風はまだ冷たいが、晴れた日にはきらきらと太陽の光が輝き、厳寒のシベリアでも軒の氷柱から水滴が輝きながら落ちていく・・・
春を光の中に感じる「光の春」という言葉には厳しい冬の国に住む人々の、春を強く待ちわびる思いが感じられる。

動物や植物の中には、気温の上昇より光に反応して冬眠から目覚めるものが沢山ある。人が寒さに震えていても、芽吹きや、花を咲かせて春の到来を知らせてくれる。
また、2月には雀も鶯も声変わりをして独特のさえずりを始めるという。小鳥たちが春を感じるのは、光の強さからなのだ。

日本の2月はまだ外気は底冷えして気温はそれほど上がらず、風もまだまだ冷たいが、日の光だけは冬至の頃に比べると、かなり力強くなっている。日照時間も冬至のころに比べると約1時間ほど長くなっており、確実に春に向かって季節は進んでいる。

春の到来を太陽の光の中に感じ、大地が暖まっていくことを感じる「光の春」。
皆さんも大気に溢れる光の中、明るい空を眺めて「春」を感じてみては如何だろうか。

photo by Natalia Medd