月に住むもの

秋の風物詩のひとつ、お月見。
「秋の真ん中」と呼ばれ美しい月を見ることができる十五夜を、今年は9月15日に迎える。

中国の「中秋節」という太陽暦の秋(7~9月)の月を愛でる習わしに由来するお月見は、平安時代に日本に伝わって以来、農作物の収穫期とも重なることから「収穫祭」として広く親しまれるようになったと言われている。

月は、地球上のどこから見ても同じ面・同じ模様を見ることができることをご存じだろうか。これは、月の公転と時点の周期が同じことから、地球に対して常に同じ面を向けているためである。
日本では月の模様を指して「兎が餅つきをしている」という言い伝えが有名である。夜空にまあるく浮かび上がる綺麗な月に餅つきをする兎を想いながら、家族団らんお供え物の月見団子を頂くお月見は、秋の代表的な風物詩のひとつだ。

模様の見方について、日本では黒い部分を模様として見ているが、黒を地として白い部分を模様として見ている国もある。

日本、韓国では餅つきをする兎
中国では薬草から薬を作っている兎
カナダではバケツを運ぶ少女
東ヨーロッパでは女性の横顔
北ヨーロッパでは本を読んでいるおばあさん
中東ではライオン



など、地球上のどこで見ても同じ月の模様でも、その解釈は国によって異なっている。
同じ月の光にそれぞれの文化や神話、歴史を重ねて見ていると思うとおもしろい。

夏の気配が尾を引きながらも少しづつ深まっていく夜に浮かぶ月を、ぜひ見上げてみて欲しい。
今日の月は、兎とは違ったものが見えてくるかもしれない。