ストロベリー・ムーン

6月の満月のことを「ストロベリームーン」と呼ぶ。2020年のストロベリームーンは6月6日に見られる。

ストロベリームーンの名はアメリカの先住民が季節を把握するために時期に関して付けた名称の一つである。

アメリカの五大湖の西側に暮らす先住民のオジブワ族は、農耕や狩猟が困難な森林地帯を生活の場とし、野生の木の実や種子を採集する暮らしを送ってきたことから、その時に採集できるものを満月の呼び名としてきた。その中の1つにストロベリームーンがあり、いちごの収穫時期である6月に昇る月のことを指して呼んだ名称である。

他の月の満月の名前をみると
1月…猿月、2月…雪月、3月…芋虫月、4月…桃色月、5月…花月、6月…苺月、7月…男鹿月、8月…チョウザメ月、9月…収穫月、10月…狩猟月、11月…ビーバー月、12月…寒月
となっている。

先住民の付けた各月の満月の名前には、生活と密接に結びついている月との関係が伺われ、生活の友としての月の存在が感じられる。

どの季節でも満月になるのは、地球を真ん中にして月が太陽の反対側にいるときである。太陽の高さと満月の高さは逆の関係となる。

日本を含む北半球では、太陽の高さは夏に高く、冬に低くなるため、満月の高さは夏に低く、冬に高くなる。さらに、1年のうちで太陽の南中高度がもっとも高くなる夏至の頃の満月は、真南に昇ったときでも地平線にかなり近くなっている。

たとえば東京の場合。6月の満月(夏至に近い満月)の高さは、南の空高く昇ったときでも、地平線から30度くらいになる。ひじを曲げずに、腕をまっすぐに伸ばした状態で空に向けたげんこつの大きさが約10度となるため、地平線からげんこつ3つ分ほどの高さを想像すれば、月の高さがかなり低いことがわかるだろう。

朝日や夕日が赤く見えるように、月も高度が低いと赤みを帯びて見える。そのため、地平線に近い空を移動する6月の満月(夏至に近い満月)は、夜中でも赤みがかって(またはオレンジ色や、濃い黄色などに)見えることがある。

今年のストロベリームーンはどのような色に見えるだろうか。しばし夜空を仰いで月の姿と光を楽しんでみてはいかがだろうか。