バロック建築 (1) – 光と共にある総合芸術の空間




バロック建築は、16世紀末にイタリアで発生しその後18世紀前半にかけてヨーロッパ各地で展開された建築様式。整合性よりもそれを破り、逸脱したところに美しさを見い出そうとする様式である。

バロックの語源はポルトガル語の「歪んだ真珠」という意味であり、元は一部の装飾過多な建築に対する蔑称であったが、のちに17,18世紀の美術、建築などにみられる様式概念の呼称として用いられている。

バロック建築はルネッサンスで復活した古典様式に動きの要素が加わったものである。そして整然としたルネッサンス様式に飽きた建築家達が不規則で変化に富んだ動きのある教会建築を造った。その目的は古典的な理想を捨て、動的で劇的な効果を求め、見る者に刺激を与えることであった。

フォルムもルネッサンス時代の端正なものよりも楕円の平面や捻じれ柱のような曲線、歪んだ形、動きのある形が好まれた。

バロック建築の特徴をみてみる。

軽量天井――ヴォールト天井は重い組積みのものが少なくなり、漆喰細工により軽量化されて浅い曲面の天井が多くなった。

彫刻と絵画による室内装飾の演出――人物の動的な姿や空中を浮遊する姿をモチーフとしたバロックの彫刻と絵画による装飾が室内に空間的な広がりを生んでいる。

バロック建築による教会内部は、彫刻、絵画、建築が融合されており、その空間に光や音楽を効果的に取り入れた総合芸術の世界となっている。

次回にバロックの有名な建築家とその作品についてみてみる。

Photo by strecosa