「光の世紀」に向けて10─可視光通信

可視光通信は人の目に見える光の電磁波を使った最新の無線通信である。

現在、事務所や住宅の照明や交通信号機や広告用電光掲示、ディスプレイ、などに多用されているLEDは高速に点滅する特性がある。可視光通信はこの点滅を人の目には感じられない程のスピードで高速に点滅させることにより、スマートフォンやタブレット、デジタルカメラ、カメラ機能付きのゲーム機やハンディ機器などを受信機器にしてデータ通信を行う。

有線通信では不可能だったことを実現し、従来の無線や赤外線で生じていた問題点を克服することができ、「ユピキタス(偏在的)」で「超高速」で「人体や電子機器にも影響しない」という新しい送信方法である。

可視光通信のメリットには以下のようなものがある。
・生体に影響を与えずに安全で、他の機器にも影響を与えない。
・発信源・通信経路が自に見えるため通信範囲が一目でわかる。
・非常に高い指向性での伝播制御ができる。(特定の相手のみに通信可能。)
・LED光源に通信機能を付加するだけでワイヤレス環境が構築できる。

デメリットとしては以下のようなものがある。
・見通し可能でないと通信ができない。
・屋外の太陽光や他の照明器具・表示装置などのノイズの影響を受ける。

また可視光通信の活用例としては以下のものが考えられる。
・応舗から割引クーポンやお得情報を発信し、顧客の誘致や購買活動に結び付けられる。
・LED照明を情報発信源にできるため、美術館や博物館などで作品の景観を損ねずにガイダンス情報を与えられる。
・駅などで多言語対応の道案内やアミューズメント施設でのサーピスに活用できる
・駐車場の位置検索、介護機器への応用
すでに東急電鉄が特定の駅に可視光通信システムを導入しており今後も設置駅を追加していく予定だという。

可視光通信は事業の効率化や価値向上が見込めるうえに情報提供側にはアプリ利用者のアクセスログを参照することで有用なマーケテイングデータも得ることができる。
今後2020年の東京オリンピック・パラリンピックやその先に向けてインバウンド向け旅行アプリ、公共交通機関の乗り換え案内アプリ、店舗の割引アプリなど多ジャンルでの展開が期待されている。