光を放つ石 (4) – 宝石の主役ダイヤモンド

中世期、ダイヤモンドはまだ原石のまま使われていたが、その硬さから病気や天災から身を守る護身符や魔除けとされ、力と勇気と無敵さの象徴として権力者が好んで身につけるようになった。

14世紀に入り、ダイヤモンドは試行錯誤されつつ研磨されるようになり、1412年には原石の正八面体の先端を平らに磨いたテーブルカットが出現し、ダイヤモンドは輝き出した。

17世紀にはベネチアの職人によって現在最も利用されているブリリアンカットの原型が開発された。画期的なこのカット法によってさらに輝きを増したダイヤモンドは社交界の女性達に広く受け入れられていった。

夜会では蝋燭の光によるゆらめく光により、オレンジや赤などに近い輝きがダイヤモンドの中からメラメラと溢れ出る。当時の人達はこの輝きをファイヤー(炎)と呼び、ダイヤモンドだけの魅力的な光として尊び好んだ。そしてその明るさ、飽きのこない色合い、優雅なデザインが指向されてきたことを背景にダイヤモンドは宝石の主役に躍り出た。