江戸時代の生活と光1─持続可能な社会として


SDGsは持続可能な開発目標を掲げた国際社会共通の目標である。また、並行して地球環境を守るために脱炭素社会の実現に向けて日本及び世界では様々な取り組みを行っている。

地球環境の課題が大きく取り上げられその問題解決を迫られている現在、私達が取るべき行動にはどのようなものがあるのだろうか。そのヒントを得るべく江戸時代の江戸の社会で営まれていた持続可能で脱炭素な生活や光との関わり方について取り上げてみたい。

江戸時代(1603~1867年)の日本全体の人口は約3000万人であり、そのうち江戸には約100万人が住んでいた。1800年ごろのロンドンの人口が86万人、パリが50万人であり、それに比べて江戸の人口は多く、世界で最も人口の多い都市であったとされる。※1

日本の江戸時代は鎖国政策により資源の出入りがなかったためにあらゆる物資を資源として再利用しなければならない時代であった。庶民の生活も裕福とはいえず新しい物は手に入らなかったために日用品のほとんどは使い捨てることなく再利用されていた。

収穫については来年も同じように収穫できるように考えて魚や動物なども獲りすぎないようにし、四季の循環を大切にしていた。また孫の世代が使えるように孫のために木を植える、というように子孫のことにまで心を配るような長期的な視野で物事を考えていた。低成長でゆっくりとした変化の生活の中で育まれた持続可能な思考であったと言えるだろう。

当時の江戸は太陽のめぐみを最大限に利用し、再生可能な生物資源や自然エネルギーを利用し、 資源・エネルギーの節約・再利用・循環的利用を図るほぼ完全なる循環型社会であった。まさに持続可能性を重視する社会であり、今日のSDGsの発想にも通じる社会を実現していたと言える。

※1 江戸ガイド https://edo-g.com/blog/2016/01/population.html/2