文様と光 (6) – 現代建築

現代建築と文様について考えてみたい。
最近の日本の動向として海外からの旅行者が増加傾向にあり、2020年には東京オリンピックが開催されることでインバウンドを意識した様々な活動が注目されている。

建築においてもインバウンドを念頭に置いて建築のデザインを今一度日本の伝統建築の良さを意識したデザインで設計して建築した物件が増えてきている。伝統の良さを残しながら新しいものを創造し、社会に発信していく建築である。

和風の空間づくりには、和風テイストを盛り込むことで、建築的に日本の伝統美を演出することが可能となる。和の素材であったり和のテキスチャーでの表現と共に、伝統的なデザイン要素として挙げられるのが、文様であろう。障子や襖などの建具や天井や壁面を文様を付けたデザインすることで、和の空間を演出することができる。

光環境においてはどうだろうか。日本人の光の感性は、障子のような面光源からのやさしい間接照明の光や和紙を通したやわらかい光などに見るように繊細な感性にその特徴がある。西洋のコントラストの強い光の感性とは異なり、アジアの他の国とも異なる独特の感性である。

和の光環境は照明器具のデザインによるところが大きく、素材に木や和紙を用いた伝統的なデザインによる器具からのやさしい光の広がりが和風空間を美しく演出する。今回取り上げたように文様をデザインに取り入れた照明は文様から透けて見える光が日本人の心に響く光となって広がる。近年はLEDにより光の色による演出の幅も広がりより豊かな和の光の世界を演出することができるようになっている。

日本の文様は、単なる記号ではなく、日本人の精神性をも表すものとして、長い伝統を引き継いて現代にまで継承されてきた。日本人だけでなく、海外から日本を訪れた人達にもその文様により生み出される美しい和のデザインは好まれ、親しみを持たれるのではないだろうか。そして、文様は伝統を踏まえたうえで、新しいデザインとしてさらに多方面に活用されてこれからも私達の生活を彩っていくことだろう。

 

photo by spinster cardigan