ステンドグラスの歴史 (2) – 序章




1世紀から15世紀にかけ、ステンドグラスの技術は大いに発展した。しかし17世紀以降、ステンドグラスは衰退の途をたどる。

中世の美術を軽視する傾向が生まれ、教会内のステンドグラスもより明るいものが好まれ、幾何学的なものが流行り、それまでの多くのステンドグラスが否定され破壊されたそうである。

19世紀に入ると中世へ回帰しようとするアーツ・アンド・クラフト運動が起こり、ステンドグラスの美しさが再び見直されるようになった。20世紀からは画家とステンドグラス職人が共同で製作することが行われた。マチス、ブラック、シャガール、ルオーなどの画家による作品があり、ガラスの素材で絵画を美しく表現する作品が多く生まれた。

そして最近では伝統的なデザインとは異なる斬新なデザインによる教会の窓のステンドグラスの製作も行われ、新しいものと伝統的なものとの見事な調和を生んでいる。

ステンドグラスは歴史と共にその製作技術や価値観が変化してきた。そして現代では、伝統的な技法に加え、斬新なデザインや新しい技術を取り入れて製作されており、ステンドグラスは日々進化してきていると言える。

古き良きものを修復しながら大切にし、一方では新しいデザインや技術を取り入れて変化をし続けているステンドグラス。光はステンドグラスのガラスを通してその波動を変化させ、やさしく味わいのある光となる。その透過光の美しさはデザインの違いこそあれ、どの時代のステンドグラスにも共通する美しさである。

光によって作り出される「光の絵」であるステンドグラスはこれからも人々にその華麗な美しい光の造形として愛されていくことであろう。

chagallglass2 photo by Mio Ota