ステンドグラスの歴史 (6) – 復興期




19世紀に入るとステンドグラス復興の兆しが見え始める。

イギリスでは産業革命により大量生産による安価で粗悪な商品があふれていた。ウィリアム・モリスは中世の手仕事に戻り、生活と芸術を一致させようとする、所謂アーツ・アンド・クラフト運動を起こした。この運動は世界に大きな影響を与え、アール・ヌーボーにも影響を与えた。また、この時代にはネオ・ゴシックと呼ばれるゴシック建築の復興運動も起こった。

それらの流れの中で、ステンドグラスは再び価値を取り戻していく。

そして、新しいステンドグラスの技術が生まれた。その創始者はアメリカの宝飾デザイナー、ガラス工芸家、アートディレクターであるルイス・カムフォート・ティファニー(1848年~1933年)である。

ティファニーはステンドグラスのエナメル塗料を塗る製法を抑え、17世紀ごろまでの色ガラスを利用して製作する製法を基本とした技法で製作した。そしてガラス片に銅のテープを巻き、ガラスとガラスをハンダ付けで繋げる技法を考えた。この方法により、従来の平面的なステンドグラスに彫刻のような立体感を生み出すことに成功した。また、彼は光をガラス全体で拡散する「オパールセントグラス」という半透明の今までにはなかった新しいガラスを生み出すという大きな功績を残した。

これらにより絵のような繊細な表現もできるようになり、彼の作品は従来のものとは異なる効果を持つ大きな魅力ある作品となっている。

また、電気スタンドのランプシェードに細かな模様を付けた作品は「ティファニーランプ」と呼ばれており、高い評価を得ている。その美しい造形は若い頃印象派の画家であった彼の豊かな色彩感覚によるところが大きいのだろう。

乳白色ガラスを基板とし、多様な色を用いたテキスチャーやモザイク効果による彼のステンドグラスの作品はどれも美しく、現在でも多くの人々に愛されており、ステンドグラスの歴史において彼の果たした功績は非常に大きい。

photo by Thad Zajdowicz