ランドスケープと光3─意義と照明

東京ミッドタウン 照明デザイン:ALG
 
ランドスケープの存在には多くの意義が含まれている。そして各スペースの目的、立地条件、歴史や文化に応じた最適な照明の光が求められている。

ランドスケープの意義と照明
■対人間
人の感性に訴えて慰楽、休養、保健、鑑賞、保安、知育などの要求を満たす。コンクリートに囲まれた都市空間において自然に触れられる空間は、索漠となりがちな心を癒してくれる空間となる。そして人々の憩いの場所となり、植物の鑑賞、ストレスの解消、木陰で涼んでの休養、など人間生活を豊かに彩る憩いの空間となる。自然と人間との良好な関係を構築する空間として子供達の最適な環境教育教材となり遊んだり自然観察ができる良い空間となる。
⇒開放的で快適な照明、光の強弱をつけて空間の明るさ見え方を演出

■対自然
防災上、地震、火災、風害、崖崩れなど自然災害に対して避難場所となり、効果的な利用ができる。最近の豪雨による洪水抑制も行うことができる。
⇒安全性を重視した照明

■対環境
植物や水辺、土壌によるヒートアイランド現象の緩和や大気の浄化作用。緑や水による周辺の大気の気温降下作用が期待できる。
⇒緑や水を光で効果的に演出する照明

■対交通
車などの交通網、人と物の流れの根幹となる空間。歩道の街路など目的地への交通機能、街路での会話や休憩などの多機能性が求められる。
⇒防犯、安全確保する機能性有する照明であり、かつ地域の象徴としての空間演出をする照明

■対社会
人と人との健康的なコミュニケーションを図る。不特定多数の人が利用する空間が多いが、そこで生まれる交流は、快適で楽しいものとなる。地域との結びつきを強くする空間として地域活性化を図ることができる。
⇒イベントごとに演出を変えられるような照明システム

■対歴史・文化
歴史的な景観や伝統的な造園を創造することによって歴史と文化を継承していく。
⇒歴史を浮き彫りにするような演出効果のある照明

■恒久性
自然を取り入れるということは、植物や生物を取り込むということであり、生態や気候、日照などに関しての知識と配慮を必要とし、それに対応した継続的な管理が求められ、エコロジー社会の大きな役割を担うこととなる。
⇒生態に影響を与えにくい照明

照明は他に周辺への影響としての光害や樹木植栽など動植物への影響、なども考慮して計画する必要がある。

ランドスケープは、時代、社会状況、文化、地域の特異性などの諸条件により、多様に解釈されるものであり、そのデザインは自ずと各空間により固有のものとなりうる。
地球全体の環境問題への対応と共に経済性、地域性、文化性、民族性、などの条件に対応した配慮をし、その主たる目的に応じたデザインを各分野と連携を持って行うという必要がある。

そしてランドスケープにおける照明計画は、防犯、安全という基本的な条件を満たしたうえでさらに魅力的な夜の空間となるような演出を行えるように光の種類、器具の設置方法、光の当て方などを工夫して目的に適したものを提供したい。

現代社会におけるランドスケープの存在価値の高さと共にその照明も総合的な都市環境との調和を目指してきめ細やかな検討をしたうえで計画をし、都市の景観創造を司る大きな要素としての責任を果たせるようにしたいと考える。