低炭素社会に向けて3─世界の温暖化の影響(2)

近年、世界中で極端な気象現象が観測されている。強い台風やハリケーン、集中豪雨、寒波、熱波、水害、森林火災、干ばつの長期化などの発生数は増加しており、大きな被害を引き起こしている。

●大雨・洪水
主要河川の洪水の影響を受ける割合は、温暖化と共に増加している。現在のように温室効果ガスを排出し続けた場合、100年に一度発生するような規模の洪水にさらされる世界人口が2100年ごろには現在の5倍である1億人になると予測されている。
2017年4月南米北西部各地では大雨による災害が発生し、コロンビアでは262人が死亡した。また、2019年10月インド中部では大雨が降り大洪水が起こり300人以上が死亡した。※1

●熱波・寒波
2019年インドでこの夏の猛烈な熱波のために死亡した人が100人を超えた。昨年、熱波宣言が出された回数はインド全土で484回を数え、2010年の21回に比べて激増した。この期間の死者は5000人を超えた。※2
2019年2月カナダから米国北部では、強い寒気を伴った大気上層の極うずが南下した影響の寒波により、米国では7人が死亡したと伝えられている。※1

●干ばつ
また、温暖化が世界の平均を上回る速さで進行している北極圏を中心に、北半球の一部では高温・乾燥状態が続き記録的な森林火災が発生している。※3
干ばつは森林火災を起こしたり、世界の安定的な穀物生産を脅かす原因の一つである。今後、気候変動によりその頻度と強度が増すと予測されている。

●降水量の多い地域と少ない地域の差が拡大
北半球の中緯度の陸地で降水量が増加し、西アフリカやオーストラリアの南東部で降水量が減少する傾向にある。21世紀末までに湿潤地域と乾燥地域で降水量の差がさらに拡大していくと予測されている。
 
 
※1 世界の異常気象. 国土交通省気象庁. https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/extreme_world/index.html
※2 インド、熱波の死者100人超す 温暖化進めば生存の限界に到達も. CNN.co.jp. https://www.cnn.co.jp/world/35139478.html
※3 環境ニュース. EICネット. https://www.cnn.co.jp/world/35139478.html