光害のない快適な光環境を目指して (1)

光害とは、町中の過剰・不適切な人工光により引き起こされている環境問題や社会問題の総称である。具体的には、エネルギーの浪費、動物の生態や農作物への影響、人体のホルモンバランスの乱れやガンの誘因、天体観測への影響などが挙げられる。

最も身近に思いつく光害は都会の夜空が明るくなってしまい星を眺めることが難しくなっていることだろう。それは街路灯や看板などの照明の光が上空に漏れて夜の闇をなくしているからだ。

そのような光害に対して様々な取り組みが行われている。
日本の例としては神戸市では美しい夜景を守るため、岡山県では天体観測に適した環境づくりのため、条例で屋外照明の明るさを規制している。

また、日本全体を夜に衛星写真で見ると漁船の光が非常に明るく見え上空に放出される光がいかに多くてエネルギーを無駄にしているかがわかる。
漁船では従来の集魚用漁灯からLED照明に替えることにより、必要な海面のみ照らし、光の上方漏れを防ぐことができるようになってきた。LEDの魚灯は魚の種類によって波長を最適なものにすることも可能であるという。

海外でも光害防止条例が施行されている所(アメリカ、イタリア、フランスなど)が多くある。地球的規模の観点からも屋外照明の本来のあり方を見直すことによって光の氾濫を防ぎ、必要な所へ必要な光のみ当てて光害をいかに無くしていくかが今問われている。

 

煌々と照らされた都会の喧噪の中で、一際ゆっくりと時間が流れている落ち着ける場所。
暗闇から静かに浮かび上がってくる仄かな陰影に縁取られた輪郭の美しさ。
ささやかで安らかな時の流れの中で、自身の深い部分を見つめ、相手を思いやれる、そんな時間(光)が大切なのではないだろうか。