ロマネスク建築 (1) – 小さい窓から射し込む光の効果

建築と光の関係性を語るのに、西洋のロマネスク・ゴシック・ルネッサンス・バロック・ロココなど建築史的系譜をふまえながら、光の特質を紐解いていこうかと思う。
ロマネスク建築は10~12世紀頃の西ヨーロッパの建築様式である。主に教会堂や修道院建築であり、巡礼路沿いに発展した。

ロマネスクという言葉は東方の初期キリスト教様式にローマ建築の技術を採用して発展したものであり、美術史、建築史において、19世紀以降使われるようになった用語である。ロマネスク建築の特徴は次のようなものがある。
 
 
半円アーチ――聖堂は一般にラテン十字形の三廊バジリカ形式を持ち、それまでの平らな木造天井は石造の半円筒ヴォールトや交差ヴォールトに変わった。その結果、半円形アーチがロマネスク建築の入口、窓などに使われるようになった。

厚い壁――石造ヴォールト天井の重さを支えるために、壁は厚く造られており、1mを超す厚さのものもあった。

小さい窓――ゴシック建築のように壁に大きな開口部は取れず、窓は小さく、少ない。

柱頭――柱の頭部分には独特の造形がみられる。
 
 
ロマネスク建築は、光を取り入れる窓が小さいために暗い空間となっているが、光の持つ性質を利用した取り入れ方で、より光の効果を高めた空間づくりが行われている。光の表情を刻々と変化させ、神聖な空間づくりが見事になされている修道院の例を次回みてみたい。
 
 
photo:Transferred from de.wikipedia to Commons