「一寸先は光」


これは、セコムの創業者である飯田亮氏(1933年~)の格言である。実業家として1962年に日本初の警備保障会社セコムを設立し、現在は取締役最高顧問を務めている。

似たことわざとして「一寸先は闇」ということわざが思い浮かぶ。このことわざは江戸時代に生まれたもので、当時は街灯もなく暗い夜道を歩くと一寸(約3センチメートル)先は暗くて見えないところから、少し先は予測がつかないというたとえであった。また、一寸先は「時間」としても捉えられ、ほんの次の瞬間の出来事は予測がつかないとも解釈される。

もし、今物事が順調にいっていても、その先はすぐどうなるか分からない、大きな闇が待っているかもしれない、ゆえに注意を怠らないようにという戒めの意味が込められていることわざである。

それに対して「一寸先は光」は、もし今闇に包まれているとしてもすぐ先には明るい光がある、希望が待っているとする言葉である。

人は自分が苦難や不幸の闇にうずくまっている時、いつまで続くのだろう、本当に抜け出す時が来るのだろうかと不安に苛まされる時がある。
そんな時に、すぐ先に光があり、歩みだせばその光の中に身を置くことができるという希望があれば、自分を奮い立たせ、勇気を持って一歩を踏み出せるのではないだろうか。

5月の五月晴れの日は太陽の光が照らす景色が輝いて見える。新緑の緑も鮮やかだ。生きている喜びや未来への楽しみを何となく感じる季節である。

「一寸先は光」―もし今苦しみや困難に出会い、闇に包まれる時があってもこの5月の光が象徴するような明るい光、希望がすぐ先にあることを信じて勇気を持って前に向いて歩んでいきたいものである。