カフェの照明3―照明計画について

カフェの照明は空間の雰囲気づくりに大きな影響を与える要素である。カフェには様々な種類の形態があるが、各内装や空間コンセプトに適した照明器具を適切に選定し、配置することで多彩な演出を可能にすることができる。

基本的なカフェの照明の照度については、全体平均で200―300lx、テーブル上は300-500lx程度が望ましい。調光調色が可能な照明を設置し、時と場面に応じて光の調整を行えることも重要である。

色温度については、2000Kから3000Kのものとし、多くの人が求めているくつろぎ感を演出するためには、色温度の低いものを選びたい。演色性能は飲み物や食事が美味しく見え、会話する人の顔色も良く見えるように、Ra90以上の光源の照明が望ましい。

カフェのインテリアスタイルには、ナチュラル調、アメリカン調、モダン調、和モダン調、など様々なスタイルがあり、内装や家具は各スタイルに準じたもので統一したい。そして各スタイルの内装にマッチした照明を設置することで、インテリアの印象をより鮮明にし、雰囲気創造の効果をアップさせることができる。また、照明器具自体にインテリア性のあるデザインを用いた場合、空間の雰囲気演出効果が上がり、より深みのある雰囲気づくりが可能となる。

個性的なデザインのペンダントライトやシーリングライトなどは、非日常感を演出し、雰囲気を高める要素となる。また、必要な部分に集中的に光を当てる方法は、空間に光の明暗差を生み出して、より豊かな光環境を創造することに繋がる。部分的に照らすことで空間にアクセントを生み出す照明は、自分だけの空間を楽しみたいと考える人にとっては特に好まれる照明である。

主照明に加えて壁面の絵画や写真を照らす照明、観葉植物などを照らす照明、を設置することによって趣のある光空間とすることが可能である。また、複数の照明器具を並べて設置する場合は、同じデザインであれば空間に統一感とリズム感が生まれ、異なるデザインであれば空間のデザイン性が高まる効果が期待できる。

外から見える外観の照明については、よりシンボリックであったりインテリアのポイントとなるような照明を計画したい。外部の路地や通路から見えるカフェ内の照明が魅力的であれば、人を引き付けて来店を促す効果も期待できる。

カフェのスタイルやコンセプトに適した照明計画は、より快適で居心地の良い空間づくりに欠かせないものであり、経済的にも収益性に貢献できる効果が期待できる。

カフェの空間全体の印象や雰囲気をより好ましくするためには,照明をインテリアの一部として捉え,照明そのもののデザイン性にも配慮することが必要といえるであろう。