暗闇と猫の瞳


闇夜に光る猫の瞳を見たことがあるだろうか。
愛くるしい仕草と表情で私たちを癒す猫の瞳には、私たち人間にはない特殊な「光」にまつわる機能がある。それが『タペタム(輝板)』という反射板である。

 

タペタムは、猫の瞳の中で光を反射させる鏡のような役割をしている。暗闇で猫の瞳が光る「アイグロウ現象」が起こるのは、周囲の光が網膜の後ろにあるタペタムに当たり、一部の波長が反射するからである。

 

では、猫にはなぜ「タペタム」があるのか。それは猫の生態に大きく関わっている。
猫は夜行性、もしくは薄明薄暮性の動物であり、主な活動時間は明け方や夕暮れに絞られる。そんな中でわずかな日光や月明りを反射し、増幅させ、物体を認識するためにタペタムは必要なのである。そのため猫は、人がものを見るのに必要な明るさの6分の1であっても生活できる能力を持っているという。

 

ミステリアスな雰囲気を醸しながら闇夜で光り、私たち人間を惹きつける猫の瞳。2月22日の「猫の日」を機に、お家の猫の瞳をもう一度観察してみてはいかがだろうか。

Photo by Mike Stillwater