復興の光

令和となってから迎える初めての正月。年始めの光としては初日の出の光が挙げられる。山や景色の良いスポットに出向いて初日の出を見に行く人も多いことだろう。

日本の本土の元旦の日の出の時刻は6時42分から7時25分の範囲になり、見える角度は南東方向になる。日本本土4島で最も早い初日の出が見られる場所は富士山山頂で6時42分ごろ、平地では千葉県の犬吠埼で6時46分ごろである。ちなみに東京新宿区は6時50分ごろになる。

初日の出を見ることで気持ちも晴れやかになり、希望に満ちた一年の始まりとしての光を感じ取ることができるのではないだろうか。

そして2020年の光として挙げられるのは7月から行われる第32回東京オリンピックの象徴である聖火の光である。聖火は3月12日にギリシャで聖火採火式が行われ、その後ギリシャ国内をリレーしたのち19日にアテネのパナシナイコスタジアムで聖火引継ぎ式が行われる。ギリシャオリンピック委員会から東京2020組織委員会へ引き継がれた聖火は3月20日に宮城県の航空自衛隊松島基地に到着する。

1964年に開催された第18回東京オリンピックは、敗戦後19年目の日本の「戦後の復興」と「科学技術先進国」を示すというコンセプトのもとに行われた。人工衛星による世界初の同時テレビ中継に成功したり、世界初の高速鉄道である新幹線や建築史に残るような屋内外の競技場を建設し、日本の技術力を世界に発信した。聖火はギリシャから沖縄に到着し、その後、鹿児島、宮崎、千歳の3地点を起点にした4コースに分けて日本全国を巡ってから東京で合流するという形で運ばれた。

今回の聖火は「(震災の)復興の火」として3月20日から東日本大震災被災県の宮城県、岩手県、福島県の各地で2日間ずつ展示された後、3月26日から福島県より聖火リレーがスタートし121日間をかけて日本全国857市区町村を巡る。聖火リレーは「希望の道をつなごう」というコンセプトのもとに1日当たり80人から90人のランナーが1人約200mをゆっくり走り、総数約1万人が聖火を運ぶことになっている。

2020年東京オリンピックの聖火には東日本大震災から10年を経た被災地や昨年の台風被害を受けた被災地など未だ復興に力を尽くしている人々にとって希望の道を照らす光となって力を与え、元気や希望を取り戻すことができるようにという願いが込められている。また、震災時に世界から寄せられた支援や励ましに対しての感謝を伝えると共に不屈の精神で困難を乗り越えていく日本人の姿勢を伝える光として「日本の魅力と再生の力」を示すように聖火リレーのルート計画が行われている。

聖火リレーは聖火ランナーだけでなく沿道で見守る人、関わるスタッフなど全ての人々の希望と期待と興奮を載せてオリンピック会場へと運ばれる。4年に一度の世界のスポーツ競技の祭典を彩る光としての聖火の光が全ての人々の心に希望と幸福を与える光となり、オリンピックの素晴らしい競技が展開されることを期待したい。

そして2020年が希望と幸福に満ちた光に照らされる素晴らしい一年となりますように…。