アドベントキャンドル

12月に入るとクリスマスを迎える準備があちこちで始まり、街は賑やかさを増してくる。そんなクリスマスまでの期間を盛り上げ、温かい気持ちにさせてくれるものに『アドベントキャンドル』がある。

キリスト教ではキリスト生誕の日である12月25日の4週間前の日曜日から24日のクリスマスイブまでを「アドベント」と呼び、「キリストの到来」を意味し、この時期からクリスマスに向けて準備を始める。欧米ではこの期間、広場に露店が並んだり室内のデコレーションを華やかにしたりしてクリスマスを心待ちにする光景があちこちで見られる。

アドベントキャンドルとは手作りしたリースなどのアレンジメントにキャンドルを4本立てて、クリスマスまでの4週間、日曜日ごとにキャンドルを1本ずつ灯していく習慣である。キャンドル1本ごとに名前が付けられてキリスト教の概念を表すものとなっている。

1本目は「予言のキャンドル」と呼ばれ、キリストは聖書の預言の成就としてお生まれになったとされ、キリストの到来を意味して「希望」を表している。
2本目は「天使のキャンドル」と呼ばれ、天使は旧約聖書の詩編から「地には平和」をと賛美したとして「平和」を表している。
3本目は「羊飼いのキャンドル」と呼ばれ,キリストの降誕が最初に告げられたのは羊飼いたちで彼らは飼い葉桶に寝かされている幼子イエスを見出して喜びに満たされたと「喜び」を表している。
4本目は「ベツレヘムのキャンドル」と呼ばれ、神とその唯一の息子の愛の象徴として「愛」を表すとされている。

一般的には1,2,4本目は紫色のキャンドルを使い、3本目は薄いピンク色のキャンドルを使う。最初の1本目のキャンドルはクリスマスまでに日曜日ごとに4回点灯するため、最も短くなる形となる。

アドベントキャンドルはドイツの牧師であり都市貧困層への伝道のパイオニアであったヨハン・ヒンリッヒ・ヴィヘルン(1808-1881)が貧しいこどもたちに対してクリスマスまでの日々にキャンドルを灯し続けたことが始まりとなっている。ドイツのカトリック教会では1920年ごろからこの習慣を採用するようになり、1930年には北アメリカにも伝わっていき、現在は多くの他の宗教にも広がっている。

アドベントキャンドルはクリスマスの4週間前からゆっくりと時間をかけて準備をしながら幸せに生活できることに感謝するイベントでクリスマスまでの日々を豊かに盛り上げてくれる。そして、クリスマスが近づくにつれ、灯すキャンドルの数が増えて明るさを増し、クリスマスを心待ちにする私達の心まで明るく照らしてくれる。今年はあなたもアドベントキャンドルを灯してみてはいかがだろう。きっと温かい気持ちにさせてくれることだろう。