【アワーシリーズ】ブルーアワー

夜になる瞬間、朝になる瞬間に想いを馳せたことはあるだろうか。日の上る前や沈んだ後の、ミステリアスなブルーにあたりがしずかに包まれるわずかな時間。この時間を一般的にブルーアワー、別名ブルーモーメントと呼ぶ。薄暮、という呼び方もある。

弊社でも外構照明のプロジェクトは様々あるが、照明の撮影にはブルーアワーへの理解が不可欠である。照明は日没後に光が灯されることが多いが、日が沈みしばらく経つとあたりは思ったより沈んだ暗さになってしまう。こうなると建物のシルエットが闇に溶け込んでしまうのだ。しかしこのブルーアワーでは、わずかな空の明るさで物のシルエットが引き立ち、幻想的な光の風景が楽しめる。デンマークなどの北欧ではこのブルーアワーが長いと言われており、この時間帯と共生するような光のデザインが魅力的だ。

実は冬の朝はこのブルーアワーの観測に最適な季節である。

日の出時間が遅いため極度に早起きする必要がなく、また空気が澄んでいるため綺麗なブルーが鑑賞できる。また朝方なので人気があまりない。しかし時間は非常にわずかであり、気を抜いてしまうとすぐ空が明るくなっていく。この儚さもまたブルーアワーの魅力である。

布団から出るのが億劫になるほど寒い季節ではあるが、防寒対策をしっかりしてお気に入りの光と共にこのわずかな時間を楽しんでもらいたい。