ホッキョクグマ

シロクマという愛称が示す通り、ホッキョクグマの何百キロにもなるとても大きな身体は、北極の氷に覆われた地帯によくなじむ白い体毛に覆われている。

しかし実はこの体毛が白ではなく透明であることをご存知だろうか。
ホッキョクグマの皮膚は実は黒く、そこに透明のストロー状の毛が生えている。
光を乱反射するこの毛が、我々には白く見えているのだ。

この体毛の構造は極限に寒い環境の中で保温効果を高めることにも役立っている。
透明がゆえに太陽光を無駄なく皮膚で吸収し、一方で空洞を持つ体毛の構造が中に空気をため込み、熱を逃がさないようにしている。この調整機能こそが-何十度にもなる北極を耐え抜く秘訣だ。

またシロクマの体毛同様に人間の白髪や白い雪なども実は透明である。
光の反射の加減で白く見えているだけで、みな透明なのだ。

2100年までにはほぼホッキョクグマが絶滅すると予想した論文が2020年7月20日、科学誌のネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された。
地球温暖化によって住む場所である氷が減っているからという理由だけではなく、有害物質による汚染も彼らの減少の大きな理由だ。

ホッキョクグマはクマの中でも最大規模の体重を誇っており、体重に対して表面積が小さいことが体温の流出を防ぐことに繋がっているが、エサがとれないことが影響してか、彼らの平均体重は近年下がり続けている。

環境変化の影響で今この瞬間にも絶滅の危機に追いやられているホッキョクグマ。
寒さ厳しい折ではあるが、住環境に適した暖房器具や照明器具を使用することでエネルギー消費量は大きく変わる。身近なことから彼らの暮らしにも思いをはせてもらいたい。