星空を守る

“見上げてごらん夜の星を”

夜道を歩いているとついつい口ずさんでしまうこの曲は、1963年に坂本九がカバーして大ヒットした曲だ。しかし現在私達が見上げる夜空に星は光っているのだろうか。人々の生活の利便性向上に光は欠かせず、便利になればなるほど、過剰に光を使用しすぎている。現在、世界人口の1/3以上、日本に至っては人口の約70%が天の川を見ることが出来ないと言われている(イタリア光害科学技術研究所)。そんな中、星空の保護に尽力している団体がある。

米国に本部を置く民間団体国際ダークスカイ協会は、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための施策や教育等の取り組みを行う団体等を奨励するために、星空保護区認定制度に基づく星空保護区の指定を、2001年に開始した。2020年12月時点、日本では沖縄県西表石垣国立公園、東京都神津島村が星空保護区に認定されている。
星空保護区の認定は、地域への観光誘致に繋がり、特に星空を見るためには宿泊を伴うため、観光資源として効果が期待できる。また、環境問題である光害の周知にもつながる。
星空保護区認定制度は、暗い夜道を照らしつつ、星空を守るための照明規定も行われている。
・上方光束のコントロール…照明器具から出る光が水平方向より上方に向かわないようにコントロールする。
・色温度3000K以下…夜間環境に有害な高色温度を抑制し、3000K以下の電球色に相当する色温度とする。

自然の光を人工の光で消し去ることは容易であるが、その匙加減をコントロールしていくことが真に豊かな光環境に繋がるのではないだろうか。