【アワーシリーズ】パープルアワー

八月。夕焼けが美しい季節となってきた。

台風が過ぎた夕焼けの時間帯、空がピンクがかった真紫に染まっているのを見たことはないだろうか。非常に奇抜かつ奇妙な色なのだが、これには理由がある。
水蒸気の量が増えることで波長が一番短い紫色で染まるためだ。
空気中の水蒸気が多い場合や梅雨前線が近い時などにも観測されることが多い。
紫色は光のスペクトルの中で一番波長が短い色であり、本来であれば地表に届く前に散乱しきってしまう光だ。
ちなみに青色が紫色に次いで波長が短く、日中空が青い理由は短い波長の光が上空で地表に届く前に散乱してしまうためである。

台風などの影響で空気中に水滴が多くあるとき、光は散乱するため遠くの光も鮮やかに届くことになる。そのため遠方にある夕陽の光と空からの青い光が混ざり合い、紫色を生み出すのだ。

また、海の塩が上空まで運ばれ、それが光を乱反射し空を紫に染めるなどすることもある。

2020年末、千葉で観測された紫色の空はトマト農家が原因だったという話もある…。
青色のLEDと赤色のLEDを、日照不足を補うためビニールハウスで使用したため、空がそれらの色で照らされピンクがかった紫色を生み出したのであった。この時は低い位置に雲が広がっていて、地上からの光を散乱させたためと言われている。

紫色の空を見て幻想的で思わずうっとり、という人も恐ろしくてつい目を背けてしまう、という人も理由を知るとより楽しめるのではなかろうか。一日の終わり、夕焼けの顔は毎日異なる。その場限りの風景をぜひ楽しんでみて欲しい。