育児と光7

子供の光の感性を磨く

LEDの登場で照明の光の可能性は大きく広がった。一方、震災以後日本人は照明の在り方を真剣に考えるようになり、人が真に快適に過ごすことが出来る照明とはどのようなものかという問いが生まれ、明るさだけを追い求めてきた日本人の照明に対する姿勢が変わってきている。

この状況の中、子供たちの光に関する豊かな感性をどう育んでいけば良いのだろうか。
それには、子供が様々な種類の光に触れ、心地よい光とは、快適な光とはどんなものかを体感し、自らが光を積極的にコントロールして自分の生活に光の要素を上手に取り入れていけるような環境づくりとサポートが必要である。

光はスイッチ一つで一瞬にして環境を変化させることができる。

家庭に於いても、子供が寝る前には家全体の照明の明るさを落とすなどして入眠、覚醒、勉学などの生活リズムを照明の光を利用しサポートすることで、子供の生活習慣と光の感覚を養うことができると考える。

1日の生活をするうえで「光」をコントロールする能力を身につけ、光に対する謙虚な姿勢を持つことは、ひいては他者を労わり、尊重する姿勢に繋がるのではないだろうか。

どんな時に、どんな場所で、どんな人が、何をするか、などに応じて最適な光を選び快適で健康的な光環境を創造する―子供たちがそんな感性を持つことができれば、情緒が豊かな自然や人に対しても思いやりの心が持てる子供に育つのではないだろうか。ひいてはその心根は広く社会の中にも浸透してゆき、より円熟した文化を育む温床となるのではないかと考える。

私たちが子供たちの光の感性を磨くこと―それは大人が真剣に光と向き合うところから始まるのではないだろうか。

 

photo by fruity monkey