脱炭素社会の実現に向けて15─ZEH/ZEB


【該当項目】SDGsの各項目について照明分野からの働きかけ
⑨スマートシティに対応した照明計画
⑫地球に優しい光環境
 
 
我が国の家庭部門における最終エネルギー消費量は石油危機以降約2倍に増加し、全体の15%程を占めている。※1
ZEHは家庭部門の省エネルギー対策として低炭素社会の実現に向けた方策の一つである。

ZEHは高い断熱性能をベースに、高効率機器やHEMSによる省エネ、太陽光発電などによる創エネを組み合わせることで、住まいの年間一次エネルギー消費量が正味おおむねゼロになる住まいのことである。平成30年度のZEH年間実績は、注文住宅(持家)では73.6%となっている。※2

ZEBは快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことである。太陽光発電などによる「創エネ」、燃料電池などによる「蓄エネ」、高断熱化や電力消費の削減のような「省エネ」の“三位一体”によって、外部とのエネルギー収支を均衡させたビルを指す。

エネルギー消費を100%削減してエネルギー収支を均衡させたり、余ったエネルギーを売電などで外部に販売できるようになっているビルは純粋な「ZEB」、75%以上削減させたビルを「ニアリー(Nearly)ZEB」、50%以上削減させたビルを「ZEBレディ(Ready)」と呼んで3段階に区別する。

ZEH,ZEB共に照明エネルギー消費量を削減するには、自然採光を効果的に取り入れた昼光利用、高効率照明であるLED照明の設置、人感センサーによる自動調光制御、タイムスケジュールや照度センサーによる自動調光調色制御などのシステム制御により適切な光環境を創出しながらエネルギー消費の削減を図ることができる。
また、室内全体を高い照度とする照明方式ではなく、タスク・アンビエント照明も省エネに有効である。また離席により不在となった箇所のタスクライトの自動調整システムを採用することによって、更に省エネルギーが図ることができる。
 
 
※1 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス). 経済産業省 資源エネルギー庁. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html
※2 「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会 2019(同時開催:ZEHビルダー/プランナー連絡会2019)」資料. 一般社団法人環境共創イニシアチブ. https://sii.or.jp/zeh/conference_2019.html